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闇夜の雫【FF15】

第3章 後編



やがてファンファーレが鳴り響いた。群衆が一斉に歓声を上げる中、バルコニーに一人の女性が姿を現した。

金のティアラに純白のドレス。風になびく栗色の長い髪。整った顔立ちに薄い微笑を湛えたその姿は、「王国一の花」の異名に恥じないものだった。聴衆に向かって小さく手を振ると、あちこちからため息が漏れた。

「綺麗な人ですね」

ユーリの言葉にアーデンも興味なさそうに同意する。
サングラス越しにバルコニーを見上げながら、美しいものは美しいと認めつつ、それ以上の感想はない。
それよりも隣のユーリへ向ける視線の方がよほど熱を帯びているが、本人が気づくことはなった。

バルコニーの王女が口を開いた。澄んだ声が広場全体に響く。

「本日はわたくしのためにお集まりいただきありがとうございます。こうして皆様のお顔を見られて、とても嬉しく思います」

群衆から口笛と歓声。その後ろで貴族らしき男たちが必死に手を振っている。
王女はふと群衆を見渡して、その目が一瞬、広場の片隅で止まった。
王女の視線は群衆の中を滑るように動き、明らかに何かを見つけた様子だった。バルコニーの柵から身を乗り出すようにして、一点を見つめている。

ざわ、と周囲がどよめいた。
「王女様が誰かを見ている」「こっちを向いたぞ」と男たちが色めき立つ。
アーデンは既に王女から視線を外しており酒を飲んでいたため、その騒ぎを他人事のように眺めていたが、ふとユーリを横目で見て、その表情に何か引っかかった。

王女の目線の先を辿ると——それは広場の中ほど、赤髪の長身の男、アーデンだった。

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