第2章 ブロック②
「…きっつ……」
彼の顎先から汗が一滴流れ落ちてきた。この合宿所はもともと涼しい山の中にあって今も空気は冷たいから、暑さのせいではないだろう。
「天童くん、つらい、の?」
正直私もジンジンとした痛みに耐えるので精一杯だったけど、彼の苦しそうな顔が心配になってきた。
「いや……あの、違うから。よすぎる、はるか先輩の中」
あっ…そういう意味だったんだ。私で気持ち良くなってくれてるんだ。痛くて辛いけどなんだか嬉しくなって天童くんの背中に回した手に力が入ってしまう。
「…そんなニヤけちゃって、余裕だね」
天童くんはそう言うと中に入ってるモノを一回引き抜いて、もう一度ゆっくりと挿入してきた。
「んあ、やあ…擦らないで」
「ん――……無理だよね」
その動きはだんだんと早くなっていき、私の中がどんどん濡れてくるのがわかる。ぐちゃぐちゃとした音はひどく煽情的で、お互いの聴覚を犯していくようだ。
「……はあ、ヤラシ――……初めてなのに」
彼の些細な呟きでさえ私の鼓膜に響き、全身の快感に繋がっていく。
痺れるような天童くんの動きも、徐々に気持ちいいと感じてきた。声を出してはいけないのにどうしても声は我慢できない。
「んんっ……あ、ああ…やぁん…」
「…はるか、声。しょうがない人だね」
腰を打ち付ける動きは止めずに、天童くんはまた唇を重ねてきた。体を重ねる前のキスよりずっと激しく舌を絡め取られ、私の声は全て天童くんによって奪われていく。
こんなに―――。全ての思考を奪われるんだ。
ただ熱くてジンジンとする私のアソコは厭らしい音をたて、天童くんを受け入れることしか考えられない。
「……さとりって、言ってみて」
一旦キスをやめ、お互いに見つめ合った瞬間に天童くんは私に懇願した。
「…………さとり」
「…ん。はるか」
これは恋人ごっこなのかな。いや、考えるまでもなく『ごっこ』だ。天童くんがどれだけ緑川のこと好きなのか私は知っている。
それならば。
どうせ『ごっこ』なら許されるかな。この雰囲気に便乗して一番言ってみたかった言葉を言ってみる。
「……さとり、好き、だよ」