第2章 遊戯王GX 消えゆく姿/丸藤亮 (非恋)
脳をかき混ぜたような感覚に吐き気がした。
蘇る記憶は、脳内にあるスクリーンに映し出され…
十代達を探し彷徨っている私が見えた。
途中、ヨハンと出会うものの、彼は強い闇の力で操られていて…
彼を助けるべくバトルを始めるが…
圧倒的な強さを見せ付けられ、負けそうになった。
その時だった。
白昼夢を見たのは…
亮がヨハンと戦い、負け、光の粒となり消えてしまう…
何度も夢で見たあの情景…!
『──お前だったのか…!』
沸々と煮え返る体内。
怒り、悲しみ、沢山の感情が一遍に押し寄せてきて、カードを引く手に力が入る。
こんな奴に亮を殺させたくない!
亮の全てを誰にも渡したくない!
強く願い、想った。
けれど、悉く弄ばれるデュエルに絶望を感じた。
何て無力だろう。
未来を知っていても、私は彼を守る術が無いなんて…!!
『お前に…渡すぐらいなら…!!』
ユベルは眩しい物を見るように、目を細めると三日月形に唇を象った。
卑しいその微笑みにゾクリと背筋を凍らせる。
《愛してるんだね。…君の気持ちは解ったよ。なら君が殺ればいい。手伝ってあげる。》
意識が朦朧とし、目の前が渦を描くようにグニャリと歪む。
《僕が最高の舞台を整えてあげるよ。》
ユベルは酷く甘く、優しい声で…
残酷な言葉だけを残し、
私を闇に堕としたのだった。