第2章 遊戯王GX 消えゆく姿/丸藤亮 (非恋)
気付けば、私はユベルという精霊に意識を乗っ取られたヨハンと行動していた。
闇に心を支配されつつあった私は、既に彼の操り人形となっていて…
ぼんやりとした意識の中で自由に扱えない体を何とかしなくてはと藻掻いていた。
暗い霧に体が蝕まれ消えていく。
どんどん自分では無くなっていく感覚に恐怖し、意識を無くしかけた…その時、
「──、─!」
何か、聞こえる。
「──…、─!」
声…?
よく聞こえないわ。
もう一度…
「──壱伽!!目を覚ませ!!」
ハッと、視界がクリアに開く。
目の前には会いたかった人。
これは…夢?
「…りょ、う?」
「…壱伽!?、壱伽なのか!?」
「…私、何を…──Σッ!」
目の前にはバトルフィールド。
私に背を向け庇うようにして立ているのはアンデット化したアームドドラゴン。
墓地にはドラゴン達の変わり果てた姿。
そして手札には…
切り札であるドラゴンズミラー。
「何…コレ…」
私のデッキで最強の攻撃力を持つファイブゴッドドラゴンが出る条件、全てが揃っていた。
亮の前には防ぐ物が何も存在せず、彼の体は酷くダメージを受けている。
「何、これ…わ、たしが…やったの?」
混乱する私をヨハンが後ろから抱きしめた。
まるで恋人がするように、耳元に唇を寄せ、囁く。
『壱伽…未来を知る君の一番の願いだったよね?ヘルカイザーである丸藤亮を殺めるのは誰でもない自分だって…』