• テキストサイズ

【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第2章 Promise




そして放課後。
相澤先生に呼び出され、厳しいお言葉を受け今に至る。
肩からずり落ちた鞄を掛け直し、また溜息をついた。ううん、落ち込んでちゃダメだと両頬を叩く。早く克服して相澤先生を見返してやるんだ…!あんなに頑張って合格したのに除籍なんて絶対やだ!

ふと、布の擦れる音に人の気配を感じて顔を上げると、紅白の髪の同級生…轟くんが入口の前に立っていた。夕日の光を受けた髪が橙を弾きキラキラと瞬いていて、それがとても綺麗で、見惚れてしまった。

「あ、えっと、お疲れ様…」
「…帰るぞ」
「なっ!なんで!?」
「方向同じだろ」
「そうだけど…いや、そうじゃなくて、」

スタスタと先を歩き始めた轟くんの後を訳もわからないまま追いかける。彼とは小、中と学校が一緒で家も近い。まさか高校まで同じになるなんて。
だけど、縁はあれども今まで接点なんてほぼなくて今日みたいに一緒に帰るような間柄ではないのだ。

もしや、今日の騒動で授業開始が遅れたし皆を巻き込んでしまったし…怒らせてしまったのだろうか。轟くんの背中を追いかけながら思惑する。あ、こうしてみると背、随分伸びたんだなぁ…なんて最後に見た彼の姿を思い浮かべて感心した。

門を出たところで轟くんは歩みを緩め、此方の様子を窺うように口を開いた。

「まだ個性の、治ってなかったんだな」
「…知ってたんだ」
「中二の時、同じクラスだったろ」
「そ、そうだけど、轟くんって周りに興味なさそうだったし…私のことも忘れてるかと」

恐る恐るそう返すと轟くんは今日のアレで思い出した、と呟いた。中学二年の夏、私はとある事件の被害者となり、それ以降男子と接触する度に個性を暴発させていたのだ。
彼とは接点は無かったけど問題児だった私のことは印象に残っていたのだろう。まあ、それもそうかと自嘲する。

「学校、通えるようになってよかった」

轟くんの意外な言葉に掠れた声で「うん」と答えることしか出来なかった。私はさっきから胸に渦巻いていた疑問を彼にぶつける。

「なんで待ってたの?このことを話すため?」
「ああ。それと…明日から一緒に通学する」

突然の申し出に間の抜けた声を上げてしまった。
一緒に通学って、どうしてそうなった?!この短時間でわかったこと、轟くんって言葉足らずだ。

/ 129ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp