第4章 Dawn
「轟くん」
「綿世、目覚ましたのか…」
「うん、お騒がせしました」
あはは、と髪に手櫛を通して笑う。轟くんは消え入りそうな声でよかったと呟いて息を吐いた。
「…お前、なんで飛び出したんだ」
「緑谷くんなら、きっと先生を助けようとするって思ったんだ。それで、気づいたら…」
苦笑して返せば、呆れたみたいな深い溜息が返ってきた。まさか轟くんにまで心配かけちゃうとは…私相当無茶したのか?緑谷くん程やらかしてないと思うんだけどなぁ。
「轟くんは怪我ない?」
「ああ」
「ん、よかった!あの時…本当にごめんね」
「もう気にすんな。乗り越えてヒーローになるんだろ」
覚えててくれたことが嬉しくて、笑顔で大きく頷くと轟くんもほんの少しだけ微笑んだ。
「あの後どうなったの?先生達のこととか学校のことはさっきクラスの皆に聞いたんだけど…」
「綿世が個性を使った後、応援が来たのはわかるか?」
「うん。ぼんやりと覚えてるよ」
「その後、先生方がヴィランを倒したが、主犯の二人には逃げられちまった。オールマイトが吹っ飛ばしたヴィランは警察が見つけたらしい」
あの二人はまだ捕まっていない…人造人間も一人とは限らない。あの人達、オールマイト先生を狙ってるって言ってた。また、現れるかもしれないんだ。白いシーツをきつく握りしめた。
「……綿世」
「ん?」
「俺は、お前を守りたいって思ってた」
突然の告白に思わず素っ頓狂な声を上げて目をしばたかせる。
「あの事件の後から、ずっと考えてた。だから雄英で綿世を見つけて驚いたし今度こそ叶えられると思った」
あの事件…私が男性に触れられなくなった原因。轟くんには大して関係ない事件のはず。今度こそ…?どうして?