第1章 エレベーターで
「ま、ままま待って!待って、轟クン!」
「悪ィ、音宮。取り込み中だ」
閉まり始めるエレベーターのドアに手を掛けてなんとか閉まらないようにと努力する奈沖であったが、恋人との甘い時間を邪魔されたくなかった焦凍が風林の腰を支えている方の手で押し返し、氷の壁を作る。
支えがなくなって全体重が秘部を擦る焦凍の指に掛かり、風林からまた甘い声が上がったが、奈沖にとって
それは傷に塩を塗る行為に等しかった。
「どういうこと!?フー子とナニしてんだよ!?なあ!」
焦凍に押し返され、油断をしていた奈沖はその場に尻もちをついてしまう。
再び閉まり始めた扉に向かって叫ぶものの、こんな所で、と続けようとした言葉は誰も聞いていなかった。
「はぁ…はぁ……」
「風林…」
再びの静寂、殆ど一瞬の攻防であったが、まるで何時間ぶりにも思える二人きりの空間。
今度こそ邪魔されてなるものかと、扉を厚い氷で凍結させる。
「…この氷が解けるまでには終わるからな…いいよな?」
「とどろきくん…ぁ」
風林の下着の中へ手を入れ、彼女の秘部を直に弄りながらまるで天井のシミでも数えているような言い分で彼女の耳元で囁く焦凍であるが、この分厚い氷が解けるのは果たしていつになるのだろうか。
そんなことを考える余裕のない風林は、焦凍の指によってクチュクチュと音を立てている自身の秘部を恥ずかしく思いつつももっとして欲しい欲には抗えず、彼の手に自身の手を重ねる。
「ハァ…ね、ゆびじゃ、や……」
背後の焦凍を振り向き、精一杯のおねだりをその小さな唇から発せば、長い接吻でぬらぬらと濡れている唇との相乗効果も相まって焦凍の雄に更に熱が集まって息を呑む。
「………っ…んな言い方して…どうなっても知らねぇぞ」
焦凍の喉がゴクリと鳴る音が風林の鼓膜を揺らせば、自分の痴態で彼が興奮しているのだと理解できて嬉しくなり。それと同時に謂れのない幸福感とキュウンとした甘い痺れが走ってモジモジと太ももをすり合わせれば、まだか、早く、という思いが高まり物欲しげな色をその瞳に浮かべてせっつこうとした。