第3章 EPISODE 1
家に帰ってお父さんに サッカーを辞めることを伝えると、少し驚いた表情をしてから
「そうか。」
と静かに言った
「あれ?止められると思ったのに そうでもないの?」
「止めて欲しいのか?」
お父さんはチラリを私を見るとニヤリとしてそういった。
「いや、別に...でも当たり前か。お父さん サッカー嫌いだもんね」
母さんを奪ったサッカーを。
「ねぇ、父さん」
「なんだ」
「サッカー...好き?」
「...さぁな。もう遅い、明日からは雷門中に転入だろう。早く寝ろ」
お父さんは顔を逸らして いつもと関わらないトーンで言った
「うん。そうだね...おやすみ」
「...あぁ」
「雷門か... フッ切っても切れない縁...だな」
***
「修也おはよっ」
朝。
こうやって修也と一緒に登校するのは幼稚園の頃からずっと一緒。
そして 今も。
「なんか木戸川の制服じゃない修也、違和感しかない...」
「そうか? まぁ 学ランは学ランでも デザインも色も違うしな」
木戸川は緑っぽいやつだったけど雷門は紺に肩のところに黄色いイナズママークがついてる
「お前は そっちの方が何故だかしっくりくるな」
「そう?」
木戸川は女子はセーラー。
それに対して雷門はワイシャツに緑のリボン。ブレザータイプの制服だ。
さっきからすれ違う他の雷門生の人達がリボンが黄色だったり青だったりするので、学年でリボンの色が変わるのだろう。
「新しい学校!楽しみだねっ!」
見えてきた雷門中を見上げながら修也に笑顔で言う
「...あぁ」
修也はそこまで楽しみではないようだ
校内に入ると大きなグラウンドがあった。その脇にちょこんと小さな建物がある
「(倉庫かな...?)」
そう思いながら その建物を過ぎると《サッカー部》って書いてあってビックリした
「(部室だったんだ...)」
この学校のサッカー部はどんなのなんだろう。
職員室に着くまでずっとこんな事ばかり考えていて
職員室で名前を聞かれた時反応が遅れて変な声が出て
修也にからかわれたのはまた 別のお話