第2章 雄英高校
そう、除籍処分だ。 相澤先生はそう言った。トータル最下位の者はこの雄英から去ることになる。 それだけは絶対に避けたい。 だから気が乗らない云々ではなく、本気で挑まなければならないのだ。
「舞依ちゃんは、次何にするん?」
「50m走かな」
「よっしゃ! 私もそうする!」
ガバッ、とお茶子ちゃんは私の肩を抱いて、歩き出す。私もそれに合わせた。なんだか恥ずかしくて照れたら、また顔が鉱物で覆われた。またまたガーネットである。
「あ、それ! やっぱり個性だったんだ!?」
「あれ、お茶子ちゃん見てたの? 」
「私がって言うか……みんな見てたよ!」
「わお……恥し……」
あれを見られていたなんて! 恥ずかしくて死にたくなったけれど、今は走れ。 除籍処分にされちまうぞ。
スタートラインに立ち、個性を使う。 足の付け根から、私の足より太くて、とても長い鉱物を纏う。足の裏は鉱物を纏ったから、地面より数m離れている。言わば巨大な竹馬に乗っているような感じだ。ちゃんと歩けるように、軽めに纏ってみた。気がついたらみんなを見下ろしていて、沢山のクラスメイトが私を見ていて恥ずかしかった。ガーネットは消えてくれない。
(軽く……速く! あと恥じるな! )
「位置について! 用意!」
ドン、という合図とともに歩き出す。この歩幅なら3~5歩でゴールまでたどり着くはず。
ズシン、ズシン、と巨人のように。
「走っとらん!」
ブフォッ、と噴き出しながらのお茶子ちゃんのツッコミが聞こえた気がしたけど、気にせず歩く。
(あと1歩______!)
結果は、4.98というタイムだった。
かなり伸びたタイムだったので、思わず小さくガッツポーズをした。
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「お疲れ様、すごく派手な個性だったわね」
「あ、ありがとう」
全ての種目が終わってお茶子ちゃんと休んでいると、蛙っぽい女の子に話しかけられた。
「蛙吹梅雨よ。 梅雨ちゃんと呼んで。 貴女達とお友達になりたいわ」
「梅雨ちゃんね! 麗日お茶子! よろしく〜! 」
「ケロ! 黒髪の貴女は?」
「神宮寺舞依です……! よろしく」
「ケロ……!」
今日1日で、友達が2人も出来た。
きっとこんなこと、もう2度とないんだろうな。