第4章 途方もない悪意
「ガキにゃ2発あれば十分だぜ!」
(こっちだって2発くらい平気ですよ……!)
至極楽しそうに笑う男。 しかし、2発の弾は舞依を傷つけはしなかった。 弾は当たったものの、ガーネットは砕けることはなく、舞依を守ったのだ。
「何だ……!?」
「く、」
(流石に衝撃までは防げないか……)
「クソ! 周りのヤツらも使えねえヤツばっかかよ!」
「弾切れか、なめすぎだ」
衝撃でよろめいた舞依を一瞥し、焦る男に向かって轟は低い声で言う。
「神宮寺! 伏せろ!」
轟の言った通りに舞依が体勢を低くすると、助走をつけた轟が舞依の上を跳んだ。 そして氷結で拘束する。
「しっかりしろよ、大人だろ」
「……!」
舞依の背筋が凍った。 氷結ではなく、轟の一言で。
「なあ、平和の象徴______あのオールマイトを殺れるっつー根拠……策って何だ?」
轟は近くの男に左手をかざしながら言った。
(あれは……“半冷半燃”の“半燃”の部分?)
氷が少しずつ溶けていき、男は涙目になって語る。
「敵の中にオールマイト並の強さの奴がいる」と______。