第4章 途方もない悪意
相澤は大衆を引き付け戦闘を行っていた。 逃げるなら今のうちだと、生徒達も出口へと向かうが、一瞬で霧のような男がこちらへ来て邪魔をした。
「初めまして。 我々は敵連合…… 僭越ながら、この度ヒーローの巣窟雄英高校に侵入させて頂いたのは……平和の象徴オールマイトに、息絶えて頂きたいと思ってのことでして」
「は______」
舞依の口から思わず、間抜けな声が漏れ出た。 霧のような男は、淡々と話を進める。
「本来ならば、オールマイトが此処へ来ているはずですが……何か変更があったのでしょうか? まあそれとは関係なく、私の役目はこれ……」
「いけない!」
黒い霧が規模を増す。 それに反応した13号は、指先の制御装置を外す。
だが______
「その前に俺達にやられるってことは考えなかったか!?」
爆豪と切島が、霧の前へと出た。
「ダメだ退きなさい2人とも!!!!」
爆豪と切島は、13号の言葉には耳を貸さずに霧の男に殴りかかろうとした。 が、拳が霧の身体を通り抜けた。13号は“個性”を使用出来ずにいる。 このままでは、爆豪と切島までチリにしてしまうことになるからだ。
(物理が効かない……?)
「私の役目。 それは……」
霧がどんどん広がっていき、生徒達を包んだ。
「あなた方を、散らして嬲り殺す」
深くなっていく霧の中、舞依は霧の男の言葉に目を大きく開いた。 そして次の瞬間、何者かに強く右腕を引かれた。その感触は、舞依には覚えがあった。
「……っ!!」
冷たい手、冷たい瞳の彼。
(轟君……!)
彼のことだと理解したその時には、生徒達は完全に霧に覆い尽くされていた。
「皆……!!!!」
13号の叫びが、舞依の脳に響いた。