第4章 途方もない悪意
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「以上! ご清聴ありがとうございました!」
13号は綺麗にお辞儀をして見せ、生徒達から拍手送られていた。 舞依も遅れて手を叩く。
(13号……素敵!)
「ブラボー!! ブラーボー!!」
飯田は高速で拍手をしている。 どこまでも速い飯田天哉だ。
「そんじゃあまずは……」
(ちゃんと立ち回れると良いなあ……)
舞依はドキドキと高鳴る鼓動を感じて相澤を見た。 その瞬間、相澤の“眼”は開かれた。
「全員かたまって動くな!!」
「?」
どこか焦ったように叫ぶ相澤に、生徒達は首をかしげた。 相澤の視線の先______不気味な雰囲気を纏った男性を始め、異形型やガラの悪い人間が黒い霧のようなものからぞろぞろと出てきていた。
「まさか……入試ん時みたいなもう始まってるぞパターン?」
「動くなあれは……敵だ!!!」
(敵!?)
「13号に……イレイザーヘッドですか…… 先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトも此処へ来ているはずなのですが……」
黒い霧のような男性が、低い声で告げた。
(カリキュラムを頂いた……!?)
「せっかくこんなに大衆引き連れてきたのに……オールマイト……平和の象徴……何処だよ……クソ……」
顔面を不気味な“手”で覆った男は、首をガリガリと掻きながらそう言った。 彼ら______敵は、オールマイトを探しているようだ。 重々しい空気の中、相澤はゴーグルを装着した。
「子供を殺せば来るのかな?」
プロヒーローが何と戦っているのか、何と向き合っているのか、それは______
“途方もない悪意”なのだと、少年少女は知った。