第4章 途方もない悪意
放課後______
「マスコミが侵入者って……」
舞依は眉根を寄せてそう言った。 今朝、マスコミに囲まれた彼女は、ガン無視して歩く爆豪を見習って歩いたことを思い出した。
「ああ、俺も驚いたよ」
飯田の一人称は元に戻っていた。
「あ、それでね! 飯田君凄かったんよ! 非常口みたいで!」
(全く分からん……)
彼女は少し首をかしげる。
「飯田君がいなかったら僕、今頃リカバリーガールのお世話になっていたかも……ありがとう、委員長」
「……!」
そう、あの後緑谷の一言で、委員長は新たに飯田と決まったのだ。 飯田は瞳に涙を浮かべ、緑谷をきつく抱き締めた。
(わあ……)
「この飯田天哉! 委員長として死力を尽くす!」
「大袈裟や!」
「むぐ、」
ブフォッ、と麗日が吹き出した。 緑谷は飯田の腕の中で何かを言っている。 実に微笑ましい光景だ。
そんな中、舞依は1人考えた。
(侵入者がただのマスコミで良かった。 けれど、問題はそこじゃない。何故マスコミ如きに侵入が成せたか……)
マスコミの“個性”か、それとも______
(他の誰かが……)
______
「これは……マスコミだけの力じゃないわね」
「そそのかした者がいるね……」
「ええ、俺もそう思います」
プロヒーローであるブラドキング,ミッドナイトを連れた雄英の校長である根津は、ボロボロになったセキュリティゲートを見た。
「邪な者が入り込んだか……あるいは、宣戦布告の腹積もりか」
プロヒーロー2人と根津の瞳は、夕焼けの中で静かに燃えていた。