第4章 途方もない悪意
NO.1ヒーローことオールマイトは、たまたま入った仮眠室で、たまたま爆睡中の舞依を発見した。 たまたまドアが開いていたので、なんとなく入った次第である。
「Hey Hey! 神宮寺少女! 起きるんだ!」
彼はぺちぺちと舞依の頬を叩いた。 それに反応して彼女はもぞもぞと動き出す。
「うう……あれ、オールマイト……?」
「ハイ、私が神宮寺少女を起こしたーー」
「オールマイトに起こされたーー……」
寝ぼけているのだろう、舞依は普段と比べ、格段にノリが良かった。 眼を擦りながら彼女は辺りを見回した。
「あれ……オールマイト?」
舞依は数回瞬きをし、オールマイトを見て首をかしげた。
「それついさっきも言ってたよ」
「私は……何を……」
オールマイトが突っ込むと、彼女は右手を頭に添えた。
「もうじき君の母君が此処へ来る。 神宮寺少女はそれを待っていたのさ」
「!」
「で、私はたまたまドアが空いているのを見てこの部屋に入ったってカンジだね、うん」
「そう、ですか……」
舞依は手ぐしで髪を梳かしている。 オールマイトはその様子を見つめて言った。
「神宮寺少女のお母さん______実はそんなに会いたくないでしょ!」
「えっ!?」
「オジサンそういうの分かるんだよね!」
「さ、さすがオールマイト……!」
舞依はオールマイトの言葉に感嘆の声を上げた。 まるで緑谷である。
(神宮寺少女……どこか緑谷少年に似たところがあるようだな……!)
「理由を聞くつもりはないが______」
オールマイトが言いかけた瞬間、彼が閉めた扉が開く音がした。
(来た……!?)