第4章 途方もない悪意
「おはよう」
「「おはようございます」」
相澤はいつも通りHRを終え、廊下に神宮寺舞依を呼び出した。 その様子を観察する者が2人。 麗日と緑谷だ。
「今日の放課後、お前の親御さんが学校に会いに来る」
「父ですか?」
「いや、眼さんだ」
「は______」
相澤から放たれた言葉によって、舞依の背筋は凍り付いた。 何故、母親が自分に会いに来るのだろうと思考回路を巡らせたが、答えは出なかった。
「どうかしたか?」
「いえ……分かりました……」
相澤と別れた後、舞依は廊下の端で棒立ちになった。
(どうして!? どうしてアイツは、私が雄英にいることを知っているの!?)
舞依は全身の力が抜け、その場に崩れ落ちた。 回らない頭で必死に考えたが、頭痛がするばかりだ。
「舞依ちゃん? どしたん?」
いつの間にか後ろにいた2人に、舞依は驚いた。
「お茶子ちゃん!? 緑谷君!?」
そう言われた緑谷は、気まずそうに頬を掻いた。
「びっくりしたよー。 急に呼び出されたから何かしたんかと思ったー! てか大丈夫? 具合悪くない?」
麗日はけらけらと笑った後、怪訝そうな顔をして舞依に手を差し出した。
「ううん、大丈夫」
「良かった!」
(本当は、大丈夫なんかじゃないけど……)
舞依は、治まらない頭痛と胸騒ぎに眉根を寄せた。