第3章 戦闘訓練!
「ごめんなさい! 私のせいで……!」
戦闘訓練終了後、舞依は尾白と葉隠に必死に謝っていた。 舞依がずっ転んだ後、動かないように転んだ体制のまま(痴態を晒したままとも言う)、鉱物ごと凍らされた。 尾白は氷で拘束され、核は轟によって回収されたのだ。
「いーよいーよ! 私も障子君に捕まったし!」
明るい声で、多分笑って言う葉隠。 まだ服は着ていない。
「むしろ神宮寺さんがいなければ、ここまで持たなかったかも知れない。 それに俺、何の役にも立たなかったし」
2人のフォローに、変態のような格好の舞依は涙を飲むばかりだった。
「ありがとう……」
舞依は優しい2人に一礼してから、少し移動して轟を見た。 どうやら轟もこちらを見ていたようで目が合った。 舞依が少しだけ頭を下げると、轟は彼女の方へ歩き出す。 舞依の前まで来ると、口を開いた。
(なんだろう……?)
「悪かったな」
「え、と……」
舞依は、轟が謝る意味が分からなかった。 轟はそれを察したのか、『お前、ずっ転んだろ』と付け加えた。
「あ……ずっ転ん……あっ……大丈夫です……」
「そうか」
舞依は大事なところでアホみたいにずっ転んだ恥ずかしさで顔が真っ赤になり、お約束のガーネットが顔を覆い始めた。 轟はそれをまじまじと見ている。 それもまた恥ずかしいのだろう、舞依はわたわたしていた。
必死に色々考え、轟に礼を言った。
「氷、溶かしてくれてありがとう」
核を回収した後、轟は舞依を拘束していた氷を左手で溶かした。 とても温かくて心地が良かった、と彼女は思う。 轟は手を差し伸べ、うつ伏せの体制から舞依を起こしてやったのだ。
「ああ」
轟は、そう言うと去っていった。
(轟君の個性は1つじゃない……彼は『本気』じゃなかったんだ……)
舞依は拳を強く握った。 こんなことでは、到底ヒーローにはなれない。
(もっと強くならなきゃ)
唇を噛み締めて、舞依はそう思うのだった。