第3章 戦闘訓練!
舞依は自分の後ろに、壁のように鉱物を作り上げた。 この部屋に轟と障子が入ってきた瞬間に、それをバネにして高速で2人に殴り掛かる。 そう考えていた。
葉隠は同階のどこか、舞依と尾白は核のある広間で守りを固める。 尾白は舞依の作り上げた壁の後ろにいるので、比較的安全と言えるだろう。
(障子君の“個性”は複製椀……下手したら葉隠さんの動きを悟られる。 それに轟君の“個性”はまだ分からない……)
どくどくと、舞依の鼓動が高鳴り始めた。 緊張を解そうと深呼吸をした瞬間______
コツコツと、外から足音がした。
(来る______!)
舞依は、壁に曲げた片足をぴったりとくっつけながら、轟と障子が来るのを待つ。
「なんだこれ……!? 神宮寺さん、頼む!」
「分かった……!」
突然、パキパキと音を立てながら床が凍っていった。
このままだと自分も凍ってしまうので、尾白の指示通り轟と障子の姿が見えないまま、壁をバネにして弾丸の如く前傾姿勢で飛び出した。
「神宮寺か」
廊下には、左半身を氷で覆った轟の姿があった。
「っ……!」
舞依の足元は、既に氷で覆われていた。目を丸くしているうちに、氷はどんどん厚くなっていく。
(いつの間に……!?)
「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねえぞ」
轟は冷たい目で舞依を見て、そう言った。 舞依は轟の言葉を聞いてすぐに、頭以外をガーネットで覆った。足の裏も完全に覆い尽くし、舞依はブーツをそっと脱いで、剣のように太く、長くした両腕で斬り掛かった。
「こいつ……!」
轟は驚いたように飛び退き、急いで氷で防ごうとした。
だが、その必要はなくなった。
「しまっ______」
なぜなら、舞依が厚い氷の上でずっ転んだからである。