第16章 今までの出来事はとても素晴らしい
うっ…
『何しやがるハゲ!』
手を引き抜こうとするが掴まれていて動かない
舌が指にまとわりつき…
『ちょ!気持ち悪いっ』
指に吸い付かれる感覚がして顔が真っ赤になった
恥ずかしくて文句をギャーギャーと言ったが止める気はなさそう
トラッパーはニヤリと(顔は見えないけれど)笑った気がした
こいつトラッパーの皮を被ったレイスなんじゃ?
そんなトラッパーの顔スレスレで何かが飛んできた
驚いたのか力を緩めた隙に手を引き抜くとドクターの服で手を拭いた
「娘にナニヲしてイル トラッパー」
どうやらママが斧を投げたみたいだ
助かった…
「ちょっとからかっただけだ」
『お前許さんからな…』
「うさみ…コンナ男と付き合ッテいルの!?」
『えっ』
「ママはコンナ男 認メナイわよ
でキればレイスとかガ幸セニ暮らセルワヨ…」
『「それはダメだ/です」』
思わずトラッパーと被ってしまったがレイスだけは嫌だ
ママとレイスは仲が良い…だからといってレイスは糞野郎だ
そんな奴と幸せ?無理ですね…
「ドウシテ?レイスは優しイノニ…」
『ちょ、ちょっと待って
その前にトラッパーなんかと付き合って無いから!?』
「いや俺ら付き合っているだろ」
『何言ってんの!?ハゲたら脳ミソまでツルツルになったか?馬鹿なんじゃない!?』
なんて恐ろしいことを言い出すんだコイツ
調子に乗るのもその面だけにしとけよハゲ
「ソンナ…うさみ…こンなケダモノと付キ合って…」
『付き合って無いから!付き合うならヒルビリーとが良い!!』
シン…と周りが静になる
私はハッとして口を押さえた
大声で何を叫んでるんだ!?
必死にも程があるだろ…
『あっ…いや…これはその……』
「ツキアウってオレよくわかんない…」
「大声で告白とか笑えるんだけど」
「恥ずかしい奴だな…アイツ酔ってるんじゃねぇの?」
レイスとフレディのその声に顔を更に真っ赤にさせ急いで外に出る
ママが慌てて呼び止める声が聞こえたが無視して走った
外の階段に座り込み恥ずかしさで泣いた
どうしてこうなったし…
全てトラッパー…いやずっと傍観してたドクターが悪い
そうに決まっている(現実逃避)