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アンハッピーエンド主義

第1章 情事に至るまでの5つの場面


【愛を確かめたくて】


氷雨は一生オレのものにならない。
5年かけて恋を芽吹かせ10年かけて愛を育てた結果、辿り着いたのはそんなどうしようもない答えだった。

月のない夜、静まり返った森の真ん中にポツリと佇む洋館の広間でボンゴレ主催の慰労パーティーなるものが催されていた。勿論、慰労とは名ばかりで実際にはボンゴレ10代目となった沢田綱吉の地位を盤石なものとすべく、同盟ファミリーとのコネクションを再確認することが本当の目的であるらしい。まあ、正直なところ、オレにとってボンゴレのあれこれは全くどうでもいいことでしかないので、詳しくは知らない。
今回のオレの任務は、ボンゴレ主催のパーティーでの見張り役。要は沢田綱吉に手を出しそうな奴がいたら始末しろってこと。ガキどものお守りなんて願い下げだけど任務だから仕方がない。バルコニーから広間を見下ろすと、同じようなオヤジの顔ばかりが並んでいた。沢田綱吉を確認して、その右後方へ視線を移す。氷雨はいつもの黒いスーツ姿で安っぽい笑顔を振りまいていた。
「Ciao,bella. 先日は世話になったね」
「Salve. お役に立てたのなら何よりです」
「またなにかあったら頼むよ」
「ええ、喜んで。その時が来ないことを祈りたいですが」
「はは、違いない」
オレは知らないが、恐らく以前の依頼主か何かなんだろう。ボンゴレ傘下のファミリーから寄せられる依頼は全て氷雨が管理にしているので、あいつは意外と顔が広い。“ボンゴレ本部ヴァリアー担当の鈴川氷雨”という肩書きはこの10年でしっかりと定着したようだ。今日もオレみたいに見張りとしてではなく、あいつは沢田綱吉の命で参加者の一人として広間の中にいる。心底面白くない。
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