第1章 情事に至るまでの5つの場面
――だめだ。我慢できねーな。
氷雨の肩に回していた手をゆっくりと下ろして、腰のくびれを撫で下ろす。その手付きの変化に気づいたらしい彼女はビクリと身体を震わせた。オレから離れようとして突っ張った手を、もう片方の手で掴んで指を絡める。この体温が、もっと欲しいと思ってしまう。
「ちょっと、ベル?」
「もっかいしよ」
「は?やっ、冗談やめて」
「いや本気だし」
首筋に顔を埋めるようにしながら、氷雨をソファに押し倒す。一生懸命氷雨はなにかを言ってるみたいだけど、走り出した欲望はもう止められない。
ぺろ、首筋を舐めてやると小さな身体がビクッと震えた。やっぱあの女優より氷雨のほうが可愛い。パジャマの裾から右手を差し入れて豊かなバストを揉みしだく。下着越しでも柔らかい。
「や、あっ」
ようやく氷雨の唇からこぼれ落ちた嬌声はさっきまで脳内で再生していた声よりもずっと可愛くて淫らだった。まだ抵抗したいみたいだけど、オレの腕を掴む手には全然力が入ってない。これってオッケーってことだよな、そーだろ、そーゆーことにしておくよ。
とりあえず雑音が邪魔だったので、オレはクソつまらないテレビを消してやった。
【映画を見てムラムラして】