第10章 【お風呂場での濡れ事】
「……じゃあ、寝室に戻ってから始めようか」
何をとは聞かない。私は聞かないぞ!!
その後、腰が抜け自力で歩くことも困難で、結局横抱きされ、部屋へと帰った。
寝室の静かな空間に包まれると、
今日は色々嫌な事があったなと、思い出したくない物まで思い出してしまう。そういえば……
「買ってもらったかんざし、落としちゃったっ!!」
頭で思うより、口が速かった。さぁっと、顔から血が抜けていくのがわかる。
「それなら大丈夫だよ、道に落ちているのを見つけてい場所が分かったんだ。……あぁ、でも見せてしまうと思い出してしまうだろう?」
「っ!!いいんですっ、あれが……あのかんざしがいいです。だから、捨てないでください」
「……わかったよ。でも思い出したり、怖くなったら隠さないで私に言うんだよ」
わかったねと、念押しをされた。どうやら、不安事を隠す性格を分かっているらしい。そんな所でさえも、好きだと心臓が脈を早める。操られているように、一挙一動見るたびに鼓動が高鳴り、最近私は益々おかしくなってしまったようだ。
「かんざしは寝込んだ後に貰ってもいいですか?」
万が一、身の回りに置いてあったとして、割ったりしてしまったら大変だと思い、後でくるであろう神食化のことを考えてのことだ。
「わかったよ。遅くなる前に始めるかい?もし何かやることがあるならーー」
「大丈夫です、その……私が寝込んでいる最中は、お願いします」
辛そうなことは早く済ませたい私は、
早く神食化始めて、早く終わらせたいの一択。白蛇さんの言葉を遮る。
しかし、寝込むとなるときっとインフルエンザ以上の辛さがあるのだろうか。個人的には肺炎の方が辛い思い出があるけど、それ以上なのかもと次第に不安が増す。
「晃が率先してするだろうね、晃もに懐いているしね」
「…………確かに、たまに子犬に見えるときがあります」
話しているとキラキラした瞳で見つめて、尻尾が幻覚で見えるときがあるのだ。否定もできなく、目をそらし気味に返す。
白蛇さんより歳上なのはこの際置いておくとしよう。