第5章 不安と混乱。
夢を見たーー
小さい頃父と母、3人を遠くで見ているだけの夢。
母のサンドイッチが好きだった。ふわふわなパンに挟めて作っていた卵サンドが好物だったのだ。
食べ終わったあとは、父と近くのアスレチックで遊んで、夕方になるまで遊んだ。とても楽しそうだった。
小さい子が私ではないと気づくまではーー
私の知っている両親の間には、私ではない子供が美味しそうに卵サンドを頬張っている。
何がそう思ったかは分からなかったけど、ゾッとした。
そこに居たのは私。それが違う子が親へ笑顔を向ける。
(やだっ……やだよ、嫌だ嫌だっ!!)
ガバッ
悪夢から逃げ出すように起き上がった。こころなしか、息が中々整わない。
起きたら現実に戻ってるかもと思ったが、見える景色は一緒。障子から射し込む光が朝だということが分かる。
掛け布団を畳み、近くの書机にあった座椅子に腰を下ろした。
丸窓があり、そこから見える中庭を見つめる。昨日もちらっと見えるだけで、楽しむ余裕なんて無かったけど、
今見ると、とても隅から隅まで手が行き届いている。
ここから見える松の木も、剪定されていて乱れが一個も見られない。
中庭を眺めていると、心が落ち着いてきたことに気付いた。
「はぁ……」
再び書机に向き直り、頬杖をつく。