第11章 目覚めたばかりのイケメンドアップは心臓に悪い
「ふふふっ」
今までに見なかった表情に、私の表情は緩み笑っていた。白蛇さんは気にせずスリスリしてくる。
「くすぐったいですよっ白蛇さん」
サラサラとした長髪が首周りをかすめる、もうちょっとだけと尚もスリスリする。
幸せだなと噛み締めた瞬間、白蛇さんは身をかがめたかと思うと、浮遊感が襲った。私の膝裏と背中に手を回し、完全なるお姫様抱っこである。
そっと近くの布団へ降ろされ、白蛇さんの顔が近づいてくる。何か嫌な予感がよぎり、咄嗟に体の隙間に手を差し入れた。
「白蛇さん、私今日目覚めたばっかり……、何か嫌な予感がするのですが……」
そう言った次の白蛇さんの一言に驚いた。
「大丈夫、いつも以上に優しくするから、ねっ?」
この人ヤル気だ……、確実にヤル目をしている。止めないと明日の調子に影響が出る気がする。
グイグイ白蛇さんの体がせまってくる、間に挟んでいた手は白蛇さんの手によって避けられていた。
「白蛇さん、一緒に寝ませんよっ!!」
白蛇さんの動きがピタッと止まった。
「それは嫌だ…」
弱々しい細い声だった。白蛇さんの顔を見上げると、今にも泣きそうな苦しくそうな顔をしていた。