第11章 目覚めたばかりのイケメンドアップは心臓に悪い
「あの、キスってどうするんですか?」
言ったあとに後悔した。何を今からする相手に聞いているのだろう、私は……。思わず真顔で質問してしまった私を恥じたい気分だ。馬鹿だ数秒前の自分。
「……っあ、いや、あの……」
「……ふふっ、仕様がないなぁ、私が手取り足取り教えてあげようかな?」
にんまり笑顔のはずなのに、その背後にどす黒い感情があるのは気のせいか、思う前に首に手を回し、手を引かれ気づいたときには、唇が重なっていた。
(ーーっ!!?)
何が起こっているのか分からない状態が続く中、
白蛇さんの舌が唇を割こうとしている動きで我にかえる。驚き唇にわずかな隙間が生まれる。
見逃さなかったかのように、舌が口内へ入りいとも容易く、私の舌は絡めとられてしまった。
「ふぅっ、んっ……ふあぁ、んん」
顔を引き距離を取ろうと試みたが、うなじを抑えられ距離どころか動くこともできない。
お互いの唾液が絡み合い、残り少ない理性にも靄が掛かる。
口の隙間から、タラリと唾液がこぼれ落ちそうになる度に、白蛇さんは唇をずらし、舌でそれを掬っては、再び口付けを繰り返された。
「……んんんっ、んぁ」
呼吸もどうすればいいか分からなくなってきた……。
「ほら、っ……息止めたら、続かないよ?」
そんなこと言ったって、呼吸してもそれを吸い込むように、すぐ肺から空気が消えてしまっているような気がする。