第11章 目覚めたばかりのイケメンドアップは心臓に悪い
「おやおや、心外だな。私はのことを思って、仕事をしながら気配を追っていたのに……」
しょんぼりとした表情を見せられ、あわあわと慌てふためく。
「あ、の。私こそ、すみません。そんなしょんぼりしないでくださいよー」
許しを得た白蛇さんは顔を晴れやかにしたかと思うと、にまりと嫌な予感を含む笑みを浮かべた。
「じゃあから口付けをしておくれ?」
「………はぁ」
目元を細め、その長い指を私の唇へ置き、ふにふにと感触を確かめるように指を滑らせる。
もし、仮にキスをして、それで終わると言ったら……白蛇さんのことだ、きっと何か企んでいるに違いない。
「〜〜、それだけですからね!」
数秒迷い間を開ける。この視線に弱い私は流されやすいのだろうか、防衛術でも学ぼうかと頭の片隅で悩んだ。
そう来なくちゃっ!と言わんばかりに、さっと態勢を整え、瞳を閉じる。
(うひゃー、まつげ長い……)
目の前の美男子に、萎縮しながら恐る恐る(若干震え気味であったが)肩へ手を添える。
今まで自分からキスした事はあっただろうか……、あれ?キスってどうするの?
そう考えるや否や、ピタっと動きを止まってしまう。合わさるまで数センチといったところで。
「?どうしたんだい?」
少し下から白蛇さんの心配する声が響く。