第11章 目覚めたばかりのイケメンドアップは心臓に悪い
「様、その、こちら側の存在になって後悔……とかしてないですか?」
後半になるにつれて、蚊の鳴くような微かな声。
「ううん、後悔どころか嬉しいよ。っまあ最初は無理矢理連れてこられて、気分も悪くなるし、帰る場所もない〜って言われて、こんな所出てってやる!……って少〜し思ったけど」
ははは、と乾いた笑い声を混ぜる。
やっぱり……と益々顔を下へ向ける晃くんに、「でもね」と私は続けた。
「今はとっても幸せ。白蛇さんも居て勿論晃くんも居て、こんなに楽しく過ごせてる、今も夢なのかなって思うときもあるくらい。だから、ねっ?晃くん、泣かないで?」
今の心境を包み隠さず伝えていると、晃くんの円な瞳から大粒の涙が一滴、また一滴と雫が頬を伝い床へ落ちた。
私は耐えかね、優しく晃くんの頭を撫でる。
あっ、他意はないからね??
「っ僕……」
「うん」
「僕、様が黄泉から帰ってきた、ときからっ……心配で心配で。それに旦那様は神食化したとっひっく、さらっと、言ってしまうし……」
白蛇さんなら、流すように言いそうだものね。
「うん、ごめんね。ほら、私は大丈夫だよ?」
さらさらと日の光に当たり、天使の輪が浮かび上がる。ぽんぽんと、白蛇さんにされて落ち着いた方法を取ってみた。