第11章 目覚めたばかりのイケメンドアップは心臓に悪い
久々に胃袋を満たされ一息つく。
苦痛の中目覚めて、食欲はないかと思っていたが、一口食べると次から次へと匙でお粥を掬い口へと運んでいた。
横にある小皿にはきゅうりの漬物が添えられていて、ぽりぽりと食感と味を楽しみながら食べた。
本当に白蛇さんや晃くんがこの場に居なくて良かった。
先程までの食事へのがっつき具合を思い出し、どこか明日を見るような目になっている。
満腹になった余韻に少し浸り、
寝込んでいた脳も覚めてきて、立ったり座ったりできるようになり、布団を畳み終えたとき。
「様、失礼してもよろしいでしょうか?」
幼い声、晃くんだと分かる。
いいよ、いいよ、私より晃くんの方が年上だし、ここにいる歴数え切れないくらいだし、と気にしないでという意味も込め了承の言葉を出す。
散らばっているところは、よし!無いなっ!
キョロキョロと部屋の隅から隅まで見回す。障子を開く音が聞こえ、失礼しますと部屋へ入る晃くんの姿。
はー、可愛い。
「換気のために戸を開けておきますね。今日は快晴で日向ぼっこ日和ですよ!」
太陽の光にあたり、晃くんの天使度メーターは限度を知らず上がり続ける。
晃くんが天使なら、白蛇さんは大天使?えっ、でも夜はネトネトな粘っこい責めが待っていますけども、それは……。
「本当だ、雲一つないねっ!」
晃くんの隣にそろりと近づき、縁側から空を見上げる。ピチチと小鳥が庭の木から木へと移り飛んでいた。
程良く吹く風もあり暑くもない。
ちらりと自分の肩程の身長の晃くんを覗き込むと視線が合ってしまった。
ついさっきまで、空を見て晴れ晴れとした笑顔とは真逆の、
曇った、泣きそうな表情へと変わりを見せる。
ギョッと私は目を見張った。