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繫がる物語

第6章 第零話


※ジュダル視点



 時は数時間前に遡る。

 俺はいつもどおり、親父達からの仕事を済ませ、その帰り道だった。

 なんもねぇ、延々と広がってる砂漠の上空を絨毯で通っていると、忽然と、黒いものが前方に現れた。
 俺のちょうど真正面、つまり、それも浮いているわけで、一瞬黒ルフかと思ったが、近づいてよく見てみると黒ルフではなかった。
「黒い…蝶?」

 それは、黒い蝶だった。
 蝶自体、見たことがない訳じゃねぇんだが、こんな黒色をした蝶は初めて見た。飛び方は普通のと変わんねぇけど。
 というか、こんな砂漠のど真ん中に、普通、蝶なんて飛んでんのか?

 それらから、なんとなくその蝶に興味が湧いた俺は暫くそれを追っかけて見ることにした。

 黒い蝶は上下には多少ふわふわしつつも、まっすぐとある場所に向かっていっており、俺はその後を追っていく。





 しばらくすると、その蝶は突然下降しだした。
 俺が絨毯から真下を見下ろしてみると、
「……女…?」
 一人の女がそこに倒れていた。
 女は先程まで追いかけていた黒い蝶と同じ色の着物、いや、袴を着ており、腰の後ろには見たことのない型の短剣が括りつけてあった。
 で、蝶はというと、その女の頭上で円を描くようにして二、三回ほど飛んだ後、弾けて消えてしまった。
「なっ…?!」
 いきなり蝶が消えたことに驚きつつも、俺は絨毯を降下させ、砂漠に降り立った。
「おーい、お前ー?生きてっかー?」
 取り敢えず女に呼びかけてみるが、女は反応を示さなかった。
 一応、息はしている。どうやら、気絶しているようだった。
「てかこいつ…」
 と、ここで俺はある事に気がついた。














 こいつには


















 ルフが周りに一羽も飛んでいなかった。



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