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生贄のプリンセス【Fischer's】

第4章 いる


「__乾杯‼︎」

かこん、とグラスが軽く当たる音が、パーティの始まりの合図のように透き通っている。
天井を見上げると、綺麗なシャンデリアがホールを彩っているように見える。

シルク達は、私が姫になったからという理由で歓迎会を開いてくれた。
とうとう、私は本当に彼らの仲間になったようだ。
敬語や〝さん〟を外した話し方も、この場所も、まだ慣れてはいないけど 今、私の中にあるのは、不安よりも胸が高鳴るようなワクワクさだった。


……それにしても、こんなにも大きなホールだと、六人いるのに何だか寂しく感じてしまうはず。
それなのに、まるで100人がここに集まってきたような騒がしさがホールに響いていた。

ご近所さんは迷惑なんじゃない?
なんて、心配しちゃうほどにわちゃわちゃとした雰囲気が続く。
__すると、私の思いを読み取ったかのように

「ごめんな、うるさくて」

と、シルクは言いながら、はにかんだ。
いつの間にか隣にいたシルクにびっくりしつつも、〝ううん、大丈夫だよ〟と笑う。

少し間が空いて、彼と目が合った。
大人な雰囲気に、ドクドクと鼓動が速くなる。
__ここに来てから、何だか鼓動の速さがおかしいような……。
なんて思っていると、彼は

「乾杯」

と私の方にグラスを傾けた。
私もグラスを持って、大人な気分に浸りながら〝乾杯〟と、グラスをこつんと合わせる。

私はまだ未成年だから、ジュースだけど いつもと違った味がして……何ていうか、背伸びをしたような感覚だった。


ちょっとだけ熱くなった頬に違和感を覚えながら、彼と談笑する。
その間に、モトキやンダホ、ぺけの事をたくさん教えてもらった。
ンダホは食いしん坊で、モトキは謎で。ぺけは 歌が得意で……

〝話し出すと止まらない〟

と言うように、彼は楽しそうに話す。
彼らの事を一番に信頼しているのは、多分シルクなんだろうな。
どこからともなく、そう考えられるくらいに 微笑ましい程の無邪気な表情で、シルクはずっと皆の事を話していた。
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