第13章 The strategy of conflict
探偵社―――医務室。
「…うっ…(確か…僕は敵にやられて…此処は…医務室?)」
敦が重たい瞼をゆっくり開けると、其処には白い天井が広がっていて。薬品の匂いが、つんと鼻を掠めた。自身の両手両足は、がっちりと縛られている。
ブオォォォォ!!と、轟音が室内に響き渡る。
其処には、チェーンソーを持ちながら妖しげに笑う与謝野晶子が立っていた。
「さァ、治療の時間だよ!!!」
あまりの恐怖に、敦の顔はみるみるうちに青くなっていき、額からは冷や汗がだらだらと流れ落ちてくる。
「ひ……ひぎゃぁああああああああ!!!」
*
敦、国木田、賢治の計三名は、与謝野先生・恐怖の治療で机にグッタリと突っ伏している。肌艶だけは異常に良いところをみると、身体だけは完全回復したという証だろう。
賢治はというと、肌をツルピカさせながらぐっすり眠ってしまっている。
「全く腑甲斐無いねェ。妾の能力が無きゃ今頃揃って土の下だよ」
与謝野がそういえば。
「 工合は如何だ?」
事務所に入ってきた福沢に、国木田はがたりと音を立てて立ち上がる。
「しゃ、社長!申し訳ありません。俺が居ながら…」
「…佳い」
社長はくるり、と扉の方へ踵を返した。
「少し出る。」
「で、でも、今は外出は……」
敦の言葉も虚しく、バタンと音を立てて扉は閉められた。
「ありゃ相当鶏冠にきてるねェ…」
「え?」