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青 い 花 【文豪ストレイドッグス】

第13章 The strategy of conflict





「こ、これは……」



軍警から報告を受けた場所へと到着してみれば、其処に広がる光景に三人は絶句した。

国木田、敦、賢治の三人までもが血塗れで地面に伏せ、マフィアと思わしき男たちも無残な姿で倒れていた。

三人は急いで国木田達に駆け寄る。


「国木田さんっ!しっかり!」

『敦君っ…賢治君……』

「幸いまだ息はあるようだ。急いで与謝野先生の所へ運ぼう。」

「はい!」


太宰は、辺りに倒れこむ男達に目を向けた。


『ポートマフィア、ね……』

「嗚呼。もう殆どが息がないようだけれどね。」


見渡していれば、なまえは一つの影に目を止めた。


『………うそ……、』

「…なまえ?どうしたの?」



なまえは駆け寄り、足を止めその場でしゃがみこむ。

そこには、美しい着物を血の赤で染めた―――



ーーポートマフィア幹部ーー

尾崎紅葉

能力名―――"金色夜叉"





横たわる彼女に、なまえは恐る恐る手を伸ばした。




―――"「なまえや。ほら、此方においで。」"


優しい彼女の声は。柔らかい笑顔は。抱き締められた時の温かさは。――今だって鮮明に思い出す事ができる。


なまえにとって森鴎外を父とするなら、尾崎紅葉は母のような存在だった。




『……姐さん…、』


頬に触れてみれば、まだ生温かい。
なまえはほっと安堵してから、太宰を見上げた。



「…姐さんも連れて行こう。」



太宰の言葉になまえはこくりと頷き、彼女を自身の背に乗せた。



昔は、自分がこうして姐さんにおぶってもらったこともあったっけ―――なんて。在りし日々のことを、思い出しながら。



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