第1章 君の相手は俺しかいない
承太郎は、立っているだけで人々の目を引く。
パーティーともなれば、多少なりとも正装をしているので、その姿に女性たちが目の色を変えるのも無理はなかった。
だが次から次へと声をかけてくる女性たちに嫌気が差し、承太郎は早々にパーティー会場から抜け出した。
騒がしい会場を後にして向かった先は、高層階にあるプライベートテラスだった。
ここは、一般のパーティー参加者は入れないようになっており、ジョースター家の者か、その他ごく一部の関係者しか来ることはない。
そこでなら、少しはゆっくりと過ごせるだろうと思ったのだ。
テラスのある階にエレベーターが止まり、その扉が開くと同時に、眼前には見事な夜景が広がる。
「おぉ、中々良い景色じゃねぇか」
幸い、今は誰もいない様子だ。承太郎はテラスの先まで歩いていくと、ゆったりとカウチに腰を下ろした。
ボーイに頼んで酒と食べ物も用意させておいたので、ここでしばらく過ごしていこうと思った。