第1章 君の相手は俺しかいない
そんな彼が、その人生で初めて好きになった女性が、だ。
は盲目のため、承太郎の姿を見ることはできない。よって、見た目で惹かれた訳ではないのだ。
むしろ、近寄っていったのは承太郎の方からだった。
二人が出会ったのは、承太郎の祖父であるジョセフ・ジョースターが催したパーティーの場であった。
ジョセフの仕事関係、友人、その他にも多くの人間が招かれ、高級ホテルを貸し切って盛大に行われたそれは、非常に豪華なものであった。
承太郎はもともと人が多く集まるところに行くことを好まないが、このパーティーは祖母の誕生日祝いであったため、渋々出席したのだった。
パーティーでは、余興の一つとしてプロの音楽家を招いて演奏してもらう。
多くの人でごった返す会場内で、様々な女性達に声をかけられ辟易していた承太郎は、なんとか女性達を振り切って、部屋の隅の席に逃れてきていた。
ボーイから受け取ったグラスワインを、カラカラに乾いた喉に流し込む。
会場に着いてから、ゆうに一時間以上が経過していた。その間ずっと女性達に取り囲まれながら、ジョセフに引っ張りまわされて関係者への挨拶をしていたのだ。