第1章 君の相手は俺しかいない
の手など包み込んでしまえるほど大きな手だ。
だが、その動きはまるでガラス細工を扱うかのように丁寧である。
口ではこんな事を言っているが、承太郎はにだけは、他人には見せたことのないほど優しい顔をする。
承太郎は、自身でも度々公言しているが、あまり女性が好きではない。あの甲高い声できゃあきゃあと喚かれると、非常に癇に障るのだ。
それなのに、女性の方は承太郎の近くに行きたくて仕方がないときている。
承太郎は、端正な顔立ちをしており、スタイルも抜群に良い。身長はスラリと高く、195cmもあるその体には、均整の取れた美しい筋肉が付いている。
また、その性格は冷静沈着・頭脳明晰で、寡黙な彼の態度がより一層女性を惹きつけていた。
皆、まず承太郎のその見た目に惹かれて近寄ってくる。だが彼は、自身の見た目だけで近寄ってくるような女は大嫌いだった。
近くに来て騒ごうものなら、大声で一喝する。
なのに、それすらも女達を喜ばせる材料にしかならないので、時折承太郎は心底嫌気がさすのだった。