第1章 夢
何が起こったのか一瞬わからなかったが、誰かに腕を引かれたようだ。
「危ないところだったな。」
優しく低めな声の主は、目の下のほくろが印象的な男性だ。
『た、助けてくださり?ありがとうございます。』
そういえばすっかり忘れていたが、誰かが全力疾走して来たんだっけ...
ふと向き直ると、何故か音也が走って来た謎の人物に抱きつかれていた。
どうやら私の代わりに犠牲になったらしい。
「すみませんでしたぁ...。あなたがとてもエリザベスに似ていたのでつい...。」
『私が外国の方に似てたんですか?!
純日本人でThe日本人顔ですけどとても光栄です。』
「いえ、実家の犬です!」
『............犬...??』
何を言っているんだこの人は。
犬に似ている.....なるほど、わからん。
「僕が寮に入ることになったので離れ離れに〜、、」
その人はとても悲しそうに俯いている。
『そ、そうなんですね...。あ、そういえばまだ自己紹介してませんでした。
私藍井咲妃って言います。よろしくお願いします!』
「僕は四ノ宮那月です。こちらこそよろしくお願いしますね藍井さんっ」
そういえば、と思い先程手を引いてくれた男性に向き直る。
『良ければお名前教えてください!』
「聖川真斗だ。よろしく頼む。」
それから皆で趣味や音楽の事など他愛もない話をして盛り上がった。
初日からハチャメチャだったが、むしろなんだか安心した。