第13章 彼のいない教室。
帰りの支度をしていると、烏丸さんが私に近づいてきた。
烏丸『赤羽まぁさんだな。
君の兄の赤羽業君についてだが…。ちょうど今、防衛省でさっき話した事と同じ内容を話している最中だ。
なので、君たちの間に隠し事をする必要はない。』
そう言って烏丸さんは去っていく。
そっか。お兄ちゃんも、もう知ってるんだ。
けど…。あれからまともに口聞いてないな…。
お兄ちゃん…私……。
考えないようにしてきた。兄と妹として生きてかなきゃ。
けど、お兄ちゃんと過ごす内にだんだん惹かれていく自分がいた…。
いつも隣にいるのが当たり前だった。けど、今は、同じ家にいるのに…誰よりも近いのに…。遠い……。
お兄ちゃんの気持ち、本当は嬉かったんだ…。
けど、私を家族にしてくれたお父さんやお母さんを悲しませるような事、できない。
お兄ちゃんには、幸せになってほしい…。
トクン…。寂しい…。
私は深呼吸をする。
今日、帰ったら先生の話題をきっかけに話しをしよう。そして、ちゃんと伝えよう。
まっすぐ、笑顔で。自分の本当の気持ちは偽って…。