第9章 花火の後に…。
自分の部屋に戻り、今日撮った写真を見ていると…。
コンコンッ…。
浅野『まぁ、少し海辺を散歩しないか?』
『うんっ。』
星の光と月明かりが照らす砂浜を私と浅野君が歩く。
大きな流木に腰を降ろした浅野君の隣に私も座る。
浅野『言いたくなければいいんだが…。
ご両親のこと、気の毒に思う。
ただ、僕が心配なのは…まぁ、お前のその笑顔がたまに、とても切なく見える時がある。
きちんと発散したのか…?自分の気持ちを誰かにぶつけたのか?』
一人海辺を散歩していると、誰かの話し声がする。
まぁ …と浅野君?
何してんだよ。俺は2人に気づかれないようにその場で様子を伺う。
『………。すごいね。浅野君は…。
人をよく見てる…。
突然だったんだ…。
夜、両親の勤務先から電話があって…。いてもたってもいられなくって。
そしたらもう、その場所は瓦礫に埋もれてて…。
辺りを探し回ったけど、ママとパパは見つからなくて。
しばらくしてから運ばれてきたママとパパに触れると、血が出て、もう、あの温かさはどこにもなくて…。
私を見ることも、名前を呼んでくれることもなくて…。』
浅野『…………。』
『でもね、お兄ちゃんもお父さん、お母さんもほんとに私を家族として迎えてくれてるの。だから、私はそれに応えなきゃいけない。私の…家族…になってくれた人たちに迷惑かけたらいけない………。』
その瞬間、フワッとあたたかい体温が私を包み込む。