第9章 花火の後に…。
浅野『僕の前だけは、自分の気持ちに正直になれ…。
誰も見ていない。聞いていない。』
『うっ…うぅ……グスッ…。
ママ…パパ…。どうして私を1人で置いてっちゃったの…?寂しいよ…。つらいよ…。いや…だよ…。』
彼女を抱きしめる腕に力が入る。
いつも笑顔で弱音を吐かない彼女の本当の気持ちに、僕はただ、抱きしめる事しかできなかった。
…………。なんだよ…それ…。一番近くにいる俺に、何で言ってくんないんだよ…。
家族だから?兄だから?迷惑かけたくないって?
だったら、兄なんか辞めちゃいたいよ…。
一番近くて一番遠い。俺の中で、だんだんと何かが外れていく…そんな感じがした。