第2章 幼なじみ
入学式の時から彼の事が気になってドキドキしながら目で追うようになった。
バスケの練習試合で他校に負けて泣いてる黄瀬くんを見た時は胸がギューッとなった。
バスケをしてる真剣な顔も友達と楽しそうに笑ってる顔も全部好きだと思う。
そんなことを考えながら歩いていると…
「チサト!」
後ろから声が掛かると振り向く間もなく肩に手が回り頭をガシガシ撫でられる。
「…ビックリした。もう…由くん!」
「チサトがここに居るの珍しいな。」
グチャグチャにされた髪のまま横に顔を向けると頬がくっつきそうなくらい近くに満面の笑みを浮かべた幼馴染のお兄ちゃんの顔があった。
ー由くんこと森山 由孝くんは家が近所で家族同士も仲良しで歳も近い事から昔からよく面倒を見てもらっていた。
「ちょっと日直の仕事で…て、急には心臓に悪いから止めてっていつも言ってるでしょ!」
「可愛い妹にちょっかい掛けて何が悪い!」
フンッと鼻息荒く言われても…。
「とにかくちょっと離れ…」
「何やってるんスか?」
低い声が聞こえ、そちらを見ると無表情の黄瀬くんが立っていた。