第1章 キラキラ王子
「アハハ…やだぁ涼太くぅん」
「じゃあ、今度一緒に行きたぁい」
楽しそうな笑い声が聞こえる。
黄瀬くんの腕に胸を押し付けるように腕を絡ませながら甘ったるい声を出しているのは誰から見ても可愛い女子たち。
その中心にはキラキラ太陽みたいな人がいる。
私はただのクラスメイトで他人で友達ですらない。
名前を覚えてもらっているかさえ怪しい。
「チサトさぁ~休み時間になる度にキラキラ王子見てるね~そんなに気になるなら話かければ良いのに。」
「王子って…私にそんな勇気があるわけないでしょ。見てるだけで良いの。」
「せっかく同じクラスなのに勿体ない。」
友人はブーブー言っているが、そもそも黄瀬くんには素敵な彼女がいるのだから問題外だ。
この気持ちは心の中だけで…もし少しでも関わりを持ってしまったら…きっと気持ちが溢れて欲張りになってしまうだろうから。