第4章 肌に焦がれただけ
「寒い」
「まあ、そりゃ冬だからね」
大学からの帰り道
マフラーに顔を埋めながら歩く
雪はまだ降らないものの、気温は着々と下がってきている
「もーやだ、冬嫌い」
「夏も嫌いなくせに」
「両方やだよ」
「我儘」
手袋をはめたカルマの手が軽く頬に触れる
その手を見つめた
冬はやだな
手繋いでも、お互いの肌の感触わかんないし
視線に気がついたカルマが不思議そうに首をかしげる
「どしたの?」
「なんでもないよ」
カルマもあたしもコート着てるし
厚着してる分、なんだか夏よりも隣までの距離が空いているような気がした
吐く息が白い
冬はやだよ、なんか寂しくなる
カルマの手に自分の指を絡ませてみたけど
感覚は伝わらない、体温も
カルマはちょっと笑って、寒さで赤くなっているだろうあたしの鼻にキスをした
「寒い?」
「うん」
あたしもちょっとだけ笑う
ちょっとだけ、温かくなった気がした