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あなたには敵わない【鬼灯の冷徹】※裏夢

第2章 酒は飲んでも呑まれるな


外は秋の冷たい風が肌に刺さる。

「さすがに夜は肌寒いわねぇ~」

自宅と職場が駅に近いからと油断していたが、やはりもっと着込んでくるべきだった。

それと、店内では気が付かなかったが
私はだいぶ酔っ払っているらしく
足元がおぼつかない。

「今日はどうもねぇ。
良かれと思って連れてきたけど、
逆に気を遣わせちゃったみたいで
悪かったわねぇ」

「いえとんでもない。ご馳走になりました」

「うふふ。これくらいいいのよ。
うちの会社って給料だけはいいし、
お金なんていくらあってもどうせろくな使い方しないからねぇ…………ひゃっ?」

ふらふらと歩いていると、
後からぐっと腕を引かれた。

「どうしたの?加々知君」

「そこ、用水路ですよ」

よく見てみると、確かに蓋のない用水路の水が街灯でてらてらと光っているのがわかった。

「あらごめん、ありがとね」

「しっかりしてくださいよ。飲んだ帰りはいつもどうしてるんです?」

「寝るかあまり飲まないかのどちらかだから、こんな状態で帰ることは滅多にないわねぇ。
だから、飲んだ後ってこんなにふらふらになるなんて知らなかったわ」

うふふと笑ったが、
本当に、思った以上に動きにくい。

真っ直ぐに歩いているつもりでも、
二三歩で加々知君に止められる始末だ。

「手、かしてください」

意図がわからずに差し出すと、
彼はその手を掴んで歩き始めた。

「ちょ、ちょっと待って!」

確かに酔って歩けないが、
これは違う気がする。


「おぶった方が良いですか」

「流石にそれは申し訳ないわ……」

さらにずれているし、
何よりも私が恥ずかしい。

「じゃあ腕でも掴んでいてください」

多少恥ずかしくはあったが、
彼に迷惑をかけていることは重々承知なので、大人しく二の腕の下あたりをぎゅとつかんだ。
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