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あなたには敵わない【鬼灯の冷徹】※裏夢

第2章 酒は飲んでも呑まれるな


軽く触れるだけのキスで、
唇を離したら、立ち去るつもりだった。

しかし、彼の手がそれを許さなかった。

後頭部を押さえつけられたのだ。

彼よりもずっと背の低い私は
不自然に首を曲げた状態になり、
当然呼吸もままならなかった。


なぜ彼がこんなことを?

頭がぐるぐるとして
まともな思考はできない。

反抗しようと唇を薄く開くと、
彼の舌が口腔内へと侵入してきた。

とりあえず、離してほしい一心だった。

離れたくないのに、
こんなことはして欲しくない。

その舌は、ゆっくりと上顎をなぞる。


自分でもわがままだというのはわかっているけれど反抗をせずにはいられなかった。

しかし、私の思いは通じず、
押し返そうとした舌をそのまま
絡め取られてしまった。

私は驚き戸惑ったが、
苦しい状態のために大した抵抗もできず
ほとんどされるがままだった。

「ん、んぅ!」

頑張って反抗の声を出そうとするが、
艶の混じった吐息に飲まれ、
喘ぐような形になってしまう。

本当に、やめて欲しかった。
それ以上はして欲しくない。

だんだん息苦しく酸欠状態になる。

頭がぼうっとして、気持ちが良くて、
もうなんだかわからなかった。

だんだんと脚が震えだし
立っているのも辛くなる。

それ以上は本当にダメだから。
だって、そんなの絶対に
諦められなくなるに決まってる。


「んぁっ……」

私が膝から崩れ落ちる寸前に、
やっと唇が離れた。

まだ頭の中は真っ白で、現状を把握しようとするだけで精いっぱいだ。

ただ一つ考えられたのは「ここから去らなければ」ということ。

少しだけあとずさり、振り返った時手をつかまれた。

「どこへ行くつもりですか」

心が震えた。息が張り詰めてうまく変容が思い浮かばない。

「ごめんなさい。私……ごめんなさい!」

勢いよく頭を下げ、その場から逃げた。

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