第5章 子ども化
「…やっぱり子どもの姿じゃ役に立たないよね…」
城内をトボトボと歩きながら、はため息をついた。
小さくなってしまった身体をもう一度まじまじと見つめる。ハンジはわざとに薬を盛った訳ではない。たまたま、試薬を持って廊下を歩いている時に、つまづいてうっかりこぼしてしまったのだ。そして運悪く、廊下の角をが曲がってきて、薬がかかってしまった。
「ぺトラ~、何か手伝う事ないかな?」
広めのキッチンに入っていくと、彼女はちょうど包丁で食材を切っているところであった。
「あ、班長!(……と、リヴァイ兵長…)」
ぺトラは振り向くと、の姿と、ドアの陰から見ているリヴァイの姿に気が付いた。
(兵長…ずっと班長の後をついて回っているのかしら…。よっぽど心配なのね…でも、その気持ち分かります……)
足元にちょこんと立たれて、じっと見上げてくるの姿に、ぺトラは思わず頬ずりをしてしまいたくなる。しかし、その欲求をぐっと理性で抑えた。
「手伝うこと…ですか」
ぺトラはキッチンを見まわした。
火にかけてある鍋…、包丁…、シンクは高い位置にあり今のには届きそうもない…。どれを見てもには危険そうなものばかりである。
「うーん…」
ぺトラは迷ったが、はっと思いついた。
「あっ、そういえばリヴァイ兵長が班長の事探してましたよ。何か手伝ってほしい事があるのかも…」
「兵長が?」
キョトと首を傾げる。これはのクセだが、小さくなっている今やると、ますます可愛らしく見える。
「そっか、じゃあ、兵長のところに行ってみようかな」
がニコッと笑うのを見てから、ペトラがドアの方に視線を向けると、リヴァイが右手の親指を立ててから、立ち去って行くのが見えた。
(兵長…良かったですね…)