第5章 子ども化
木の陰からジロリと、迫力のある顔でリヴァイが見ていた。
リヴァイは、その方法はややぶっきらぼうではあるが、仲間のことは誰に対しても分け隔てなく大切にする。しかし、に対してはそれが少し…いや、かなり強くなる。訓練兵時代からの先輩後輩という関係のせいもあるのだろうが、おそらくそれだけではないのだろう。
((これで班長に怪我でもさせたら…俺らリヴァイ兵長に殺される…っ!!))
二人は背筋に冷たい汗が伝うのを感じた。
「大丈夫だって!」
二人の顔が青ざめていることにも気づかず、が斧に手をかける。
「よい…っ、しょ…??!」
の小さな腕でヨロヨロと持ちげられた斧は、すぐに土の上にザクリと落ちた。
「わああああ!!班長お怪我は??!」
悲鳴を上げて、エルドとグンタが駆け寄る。
だが一方での方もまた驚いていた。一つは、二人の狼狽ぶり。そしてもう一つは、
「だ、大丈夫、怪我はないよ。…でも、斧ってこんなに重かったっけ…?」
先ほど、何とかして持ち上げた斧は、とてつもない重さに感じたのだった。
「仕方ないですよ!班長は今子どもの身体になってしまっているんですから!!ささ、力仕事は俺達に任せて、班長はエレン達の様子でも見に行って差し上げたらいかがですか??!」
「…うーん…」
確かに、筋力も子ども化している今の自分にはこの作業は向かないのかもしれないと思い、エルドとグンタに半ば強引に勧められ、はオルオとエレンの元へ向かうことにした。
の小さな背中を追って、リヴァイも付いていく。
((兵長…よっぽど班長の事が心配なんだな…。でも、その気持ちよく分かります!!))
エルドとグンタはほっと胸をなでおろして、二人の姿を見送った。