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ただのパンダのお引っ越し

第7章 愛があればいいのさ



ぽかぽかした日曜日。だけれども、相変わらず居間のカーテンは閉めきっている。パンダがバレないように。
おかげで部屋が暗いけど、昼間から電気をつけるのはもったいない。
なら映画でも見たらちょうどいいじゃない。ということで、その日はテレビで映画を見ることにした。

パンダ姿の伊豆くんを寝そべらせると、天然モフ毛ソファのできあがり。彼に抱きかかえられるようにして、私も床に横たわった。

映画はまあ、特になんてことない恋愛ものだ。男と女が出会って恋に落ちる。きわめて普通。

終盤にさしかかると、けっこう際どいラブシーンが出てきた。
繰り返されるディープキス。歪むベッドシーツ。熱い嬌声。

あ、こういうの見てるとちょっとムラムラくるかも。

そんなことを考えていたら、腰のあたりに違和感を感じた。
むむ?

何かと思ったら、伊豆くんが私のお尻に自分の腰を押しつけていたのだ。

「わっ…な、何?どうしたの?」

ちょっと驚いた。人間の姿の時に迫られるのは珍しいことではないが、パンダの時にこんな風になったのは初めてだ。

伊豆くんは私の言葉を聞いているのかいないのか、かまわず覆いかぶさってきた。
冗談じゃない。100kg以上ある巨体に潰されたら死ぬ。

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