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ただのパンダのお引っ越し

第6章 パンダと私の青空教室



「ただいま〜」

今日もまた疲れて帰宅した。現場の新人がブッ飛んだ対応をしたらしい案件の後処理に追われた1日だった。バカの尻拭いは大変である。

癒やしてもらおうと思ったのに、四足歩行のパンダは出迎えに来ない。
ご飯支度のためにキッチンにいるわけでもない。

「伊豆くん、どこ…?あっ、わ!わ!」

居間の窓を開け放って、伊豆くんはベランダから身を乗り出していた。
こともあろうに、パンダの姿で。

「ちょっとちょっと、何やってんの!」

私は首根っこをつかんで彼を室内に引きずり込んだ。
伊豆くんはキュルキュルと鳴き声を上げて上目づかいに私を見る。

「そんな顔してもダメです!誰かに見つかったらどうするの!キミは知らないかもしれないけど、パンダは絶滅危惧種だから、一般人が飼ったらダメなんだから、バレたら捕まるんだからね!」

だから私は、日中も家のカーテンを閉めきっていた。
窓から外に出るなら人間の姿になること、と彼には強く言い聞かせてある。

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