第6章 パンダと私の青空教室
「スマン、やたらと犬が騒いでいたから、何かと思ったんだ。うっかりしていた」
人の姿になって晩御飯を食べながら、伊豆くんは申し訳なさそうに言った。
「だから、そういう時は人間になってってば」
「本当にスマン。不注意だった」
しょんぼりとしながら麻婆豆腐をつつく伊豆くん。
ちょっとキツく言い過ぎただろうか。
私も悪いのかもしれない。伊豆くんが家に来てから、私は彼を一歩も外に出してやってない。
室内犬だって日に一度は散歩をするだろうに。
「ご飯が終わったら、散歩に行こうか」
「えっ、いいのか!?」
パッと顔を輝かせた伊豆くん。「なら、早く行こう」と大急ぎで白米を喉に流し込む。
やっぱり、それほど外に出たかったんだ。
胸がチクリと痛んだ。飼い主としてもう少しペットをケアしてやらねば。