第1章 パンダ、拾いました
風呂上がり、平皿に牛乳を盛ってやると、パンダはベチャベチャと舐め始めた。パンダの食べ物といえば竹だと思うけど、うちのキッチンにそんなものはないから我慢しろ。
私はざくざくパンダ(お菓子)を食べながら、皿に顔を突っ込むパンダを見ていた。
パンダはあっという間に牛乳を飲み尽くすと、おかわりを要求するように皿を私に押し出した。
なんてパンダだ。
パンダは無遠慮におかわりをくり返し、開封したばかりの牛乳パックはあっという間にカラになった。
パックを逆さに振って「もう無い」ということを教えてやると、パンダは私の手からパックをひったくった。
フンフンその匂いを嗅いでいたかと思うと、舌を伸ばし、パックに残る牛乳をペロペロ舐め取る。
余りにもかわいいその光景。動画投稿サイトにでも載せれば、数千万再生はされただろう。
「かっ…かわいい〜〜〜!!」
辛抱たまらなくなって、私はパンダを抱きしめた。
憧れのパンダハグ。素晴らしきナマパンダの感触。思ったより毛は硬かったけど、そんなことどうでもよくなるくらい、私は感動した。
パンダはそんな私の様子に少しキョドったようだけれど、すぐにまた牛乳パックをペロペロする作業に戻ったのだった。