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ただのパンダのお引っ越し

第1章 パンダ、拾いました



玄関まで来た私は、浴室に直行した。パンダを洗うためだ。あと私もシャワーを浴びたいからだ。パンダなんか引きずって歩いたせいで私もひどい有様だった。
ぐちゃぐちゃに濡れた服を脱いで、浴室に入った。

パンダの体にシャワーをかけると、ピクリと動き出した。
目を覚ましたようだ。ウルウルだかギュルギュルだかいう鳴き声をあげて私を見た。
へえ、パンダの鳴き声ってこんな感じなの。

「動かないでね…別にあんたをとって食おうってんじゃないのよ。キレイに洗ってあげるから」

私の言葉が通じたって訳じゃないだろうけど、パンダはとても大人しく洗われてくれた。

「へえ、いい子だねえ。よしよし」

頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。
かわいい〜!



ムニッ
という感触がした。

「ん?」

パンダが、私の胸に鼻面を押しつけていた。

「わっ…ちょっと!」

私の制止も聞かず、舌を出して胸をペロペロと舐める。

「やっ、やめ…!なんなの!?そんなとこ舐めたってお乳なんか出ないからぁ!やめなさい!」

頭を掴んで無理やりひっぺがすと、パンダはしょぼくれた様子で床にへたり込んだ。

た…多分、よっぽどお腹が空いているんだろう。仕方ない。そのかわいさに免じて許してやる。

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